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井上和哉(カズヤ)税理士事務所

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会社の変更と外国籍従業員の届出義務


◆外国人従業員の届出義務
外国籍従業員を雇用されている企業の皆様、「所属機関等に関する届出」という手続きをご存知でしょうか?これは、平成24年7月から始まった新しい在留制度により新設された制度で、雇用関係や婚姻関係などの社会的関係が在留資格(≒ビザ)の基礎となっている方が、その関係に何らかの変更が生じた場合、その旨を届け出なくてはならないという義務を外国籍の方本人に課すものです。正確には、平成24年7月9日以降に上陸許可や在留資格の変更、在留期間の更新許可を受けた方に届出義務があるため、外国籍従業員全員にこの義務が課されているというわけではありませんでしたが、制度の施行から2年が経過し、現在ではほとんどの方が対象になっています。

◆会社の移転や名称変更のときにも
では、「社会的関係に何らかの変更が生じた場合」とは、実際どのような場合を指すのでしょうか。たとえば就労目的の在留資格、いわゆる「就労ビザ」を取得している方の場合、その就労ビザは会社との「雇用関係」により付与されていますので、会社を離職したり、他社へ転職したりすると、社会的関係に変更が生じたとして届出を行うことになります。つい忘れてしまいがちなのが、『会社の名称や所在地に変更があった場合』です。法務省では、届出を行わなくてはならない変更事項として、「所属機関の消滅、所属機関との契約の終了・新たな契約の締結があったとき」の他、「日本にある契約機関の名称・ 所在地に変更が生じた場合」と定めています。「そういえば今年は会社を移転した」「社名変更をした」という企業様で、もし外国籍従業員を雇用していらっしゃいましたら、従業員の方が所属機関等に関する届出を行っているかどうか、ぜひ一度確認してみてください。

◆届出を怠ってしまうと・・・
残念ながら、まだまだ認知度の低いこの届出。しかし、最近では届出を怠った状態で在留期間の更新申請などを行うと、審査過程で、別途確認の連絡や資料提出の通知が来るケースも見受けられるようになりました。届出を怠った場合は20万円以下の罰金に、虚偽の届出をした場合は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることもあります。届出義務を課されているのは外国籍の方本人ではありますが、会社に変更が生じた場合には、合わせて従業員に対し届出の案内したいところです。

高額療養費の自己負担額改定


◆医療費の支払いが高額になった時
けがや病気で入院等をし、医療費の支払額が高額になった時、自己負担が一定の額を超えた場合、申請により後から払い戻される制度が健康保険の{高額療養費制度}です。高額になる事が事前に分かる場合には「限度額適用認定証」を保険者に交付してもらい医療機関に提示しておくこともできます。その場合は支払い時に減免された額を支払うだけで一時的な大きな負担をしなくても済むようになっています。

◆払い戻しを受ける場合は
高額療養費を申請して払い戻してもらうには病院等の領収証も必要になりますが、病院は保険者に提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経てから支払いが行われるので診察月から3ヶ月以上はかかるのが普通です。申請は全国社会保険協会や加入している健康保険組合です。
また、被保険者が同じ月に入院や通院があったり、複数の医療機関に受診したり、被扶養者が医療機関に受診した時は自己負担限度額を世帯で合算する事が出来ます。さらに高額医療費を受けた月が直近12カ月間に3回以上あった時は4回目から自己負担額が軽減されます(多数該当)。

◆平成27年1月から自己負担限度額改定
これまで70歳未満の被保険者に係る自己負担限度額は所得区分が3段階でした。改正では上位区分が増え次のように5段階に区分されます。
①標準報酬月額83万円以上の人
252,600円+(医療費-842,000円)×1%  (多数該当限度額140,100円)
②標準報酬月額53万円以上83万円未満
167,400円+(医療費-558,000円)×1%  (多数該当限度額93,000円)
③標準報酬月額28万円以上53万円未満
80,100円+(医療費267,000円)×1%  (多数該当限度額44,400円)
④標準報酬月額28万円未満の人
57,600円  (多数該当限度額44,400円)
⑤市町村民税が非課税の人
35,400円  (多数該当限度額24,600円)

今回は70歳以上の方の変更はありません。

高年齢者雇用の実態


◆9割以上が高年齢者雇用を実施
高年齢者雇用について厚労省より平成26年6月時点の実施状況等をまとめた集計結果が発表されました。
高年齢者雇用安定法では60歳以降の継続雇用についていずれかの雇用確保措置を講じなければなりません。
①定年制の廃止
②定年の引き上げ
③継続雇用制度の導入
厚労省の調査では調査した14万5千社余りの企業のうち、98.1%は雇用確保措置をすでに実施していて未実施の企業は1.9%と少数でした。企業別では大企業が99.5%
(約1万5千社)、中小企業では98%(約12万8千社)でした。

◆8割は継続雇用制度実施
雇用確保措置の内訳は、実施している企業のうち「定年の廃止」を行っている企業は2.7%(約3800社)、「定年の引き上げ」の実施15.6%(約2万2300社)だったのに対し、「継続雇用制度の導入」による措置を講じている企業は81.7%(約11万7千社)と8割程度を占めています。
希望者全員が65歳以上まで働ける企業割合は、71%(約10万3千社)、大企業では51.9%(約7800社)、中小企業では73.2%(約9万5千社)です。
70歳以上でも働ける企業となると19.9%(約2万7700社)のうち、大企業は約1700社、中小企業約2万6千社となっており中小企業の方が長く働ける状況である事が分かります。
働く時間や賃金を見直しつつ、雇用契約期間の更新をしながら柔軟に継続雇用をしてゆく雇用形態が一般的です。

◆目標は「70歳まで働ける企業」作り
政府は生涯現役社会の実施にむけた取り組みとして将来の労働力減少、団塊の世代の65歳到達等も踏まえ、年齢に関わりなく働ける社会を目指したいとしています。現在の雇用確保を基盤として70歳まで働ける企業の普及、啓発に取り組むとしています。ただ、企業として人材確保は重要ですが若年者の雇用にも繋げていかなければ先行きが危ぶまれます。雇用確保は年齢分布を考慮しつつ、行わなければならないでしょう。

相続と債務 課税方式と債務の分割


◆遺産課税と遺産取得課税
相続の課税方式には、遺産課税と遺産取得課税があります。前者は遺産そのものに課税する方式であり、後者は遺産を取得した者に課税する方式で、現行の相続税は、法定相続分を併用した遺産取得者課税です。
例えば、被相続人の財産1億円、債務1億円で、相続人が長男と次男の2人の場合、遺産課税では、財産1億円-債務1億円、結果、純財産はゼロとなり相続税の課税はありません。
一方、遺産取得者課税である現行の相続税では、被相続人の純財産がゼロだからといって必ずしも相続税がゼロということにはなりません。債務の承継如何です。

◆債務の分割(債務の引受)の是非
現行の相続税では、各相続人が取得した純資産価額(課税価格)をベースに相続税額を計算します。
先の例ですが、長男が1億円の債務のみを全額承継した場合、長男の取得した財産はマイナス1億円の財産、相続税ではマイナスの取得財産がありませんので、債務額1億円は切り捨てられ、長男の純資産価額はゼロとなります。一方、この切り捨てられた債務は、次男の課税価格から控除できませんので、次男が相続した1億円が課税価格となり、相続税の課税が生じます。
この債務の分割ですが、民法では、遺産分割の対象にならず、相続人の法定相続分に応じて当然に分割して承継されると解されています。先の例では、債務の承継は、長男5千万円、次男5千万円となります。
一方、現行の相続税では、相続人がそれぞれ実際に負担する債務の額について債務控除を認めています。つまり、債務の分割を前提した申告を容認しています。先の例では、次男1億円とすることも可で、債務の承継は自由です。もちろん、債務の分割は当事者間では有効ですが債権者の同意がなければその効力はありません。

◆債務の分割と贈与
相続債務について、民法のように解すると、長男の法定相続分以上の債務引受は代償分割であり、代償に見合う財産を次男から取得していない以上、その分は次男に対する贈与である、との主張もあります。
しかし、現行の相続税では、被相続人の積極財産と同様、債務についても分割を容認していますので、法定相続分を超える債務の承継があったとしても贈与税の課税が生じないものと思われます。

平成27年度税制改正大綱 資産課税編


資産課税については、改正項目の多くは拡充、期限の延長です。以下、その内容を概観していきます。
●住宅取得等資金贈与の非課税枠の見直し  直系尊属から贈与された住宅取得等資金の非課税措置については、その適用期限を平成31年6月30日まで延長しています。  また、非課税限度額についても、住宅取得等に消費税10%が適用される場合とそれ以外の場合に分け、その上で、良質な住宅とそれ以外に区分し、消費税10%適用の場合、住宅取得に係る契約の締結期間が平成28年10月~平成29年9月までは、良質な住宅取得には非課税枠は最大3,000万円、それ以外の住宅取得には最大2,500万円とする等の改正が行われています。  さらに、良質な住宅家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅家屋等が加えられています。  なお、東日本大震災の被災者に関しても一部非課税限度額が異なるものの同様な改正がなされています。
●結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置  具体的な内容は、(1)親・祖父母(贈与者)は金融機関に子・孫(受贈者20歳以上50歳未満)名義の口座を開設し、(2)当該口座に結婚・子育て資金を一括して拠出、(3)子・孫ごとに1,000万円を非課税とする、(4)贈与者死亡時の残高を相続財産に加算するが2割加算はない、(5)受贈者が50歳に達する日に口座は終了し残高があれば贈与税を課税、(6)適用期限は、平成27年4月1日~平成31年3月31日まで、とするものです。  なお、結婚・子育て資金の払出し可能な使途ですが、結婚費用(限度額300万円)、不妊治療、子の保育費、出産費用等が挙げられています。
●教育資金贈与の一部見直しと期限延長  適用期限は、平成31年3月31日まで延長、そして、特例適用対象となる教育資金の使途の範囲に、通学定期代、留学渡航費等が加えられています。
●非上場株式に係る納税猶予の一部見直し  非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予について、事業承継の円滑化の観点から贈与税の納税義務が生じないよう一部改正がなされています。  具体的には、1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場合(3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること)には、猶予されていた贈与税の納税義務が免除される等の改正です。

平成27年度税制改正大綱 納税環境整備編


納税環境整備に関しては、改正の柱は、財産債務明細書の見直しとマイナンバー制度の預貯金情報等への利用です。以下、その内容について概観してみます。 ●財産債務明細書の見直し  大綱では、財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに、財産債務調書として整備する、となっています。 (1)提出基準の見直し  現行の「所得金額2千万超」に加え「総資産3億円以上又は有価証券等(出国する場合の譲渡所得等の特例対象資産)1億円以上(12月31日時点)を基準とする。 (2)記載内容の見直し  記載内容は、国外財産調書と同様とし(例:不動産は所在地別に、有価証券等は銘柄別に記載)、価額も原則として時価(見積価額も可)とする。  なお、出国時特例に活用する観点から、有価証券等については取得価額も併記する。 (3)加算税の加減算によるインセンティブ措置の導入  所得税・相続税の申告漏れがあった場合、 ①財産債務調書に記載がある部分については、過少(無)申告加算税を5%軽減する(所得税・相続税)。 ②財産債務調書の不提出・記載不備に係る部分については、過少(無)申告加算税を5%加重する(所得税)。 (4)その他 ①財産債務調書の提出に関する調書に係る質問検査権の規定を整備する。 ②不提出及び虚偽記載に係る罰則規定は設けない。 ③財産債務調書の記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に配慮する。  この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。
●マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置  この改正措置は、行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)の改正に併せて国税通則法を改正し、銀行等に対し、個人番号及び法人番号(マイナンバー)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課するものです。  この改正は、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法案(仮称)において一括して行われ、同法律案に規定する施行の日から適用されます。

平成27年2月の税務


2/10
●1月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

3/2
●前年12月決算法人(決算期の定めのないもの含む)の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●6月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●法人の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、9月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の11月、12月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(10月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

————————————–
○前年分所得税の確定申告(2月16日から3月16日まで)
○前年分贈与税の申告(2月2日から3月16日まで)
○固定資産税(都市計画税)の第4期分の納付

平成27年度税制改正大綱 個人課税編


個人課税については、配偶者控除を中心とした各種控除や税率構造等の大きな改正は見送られました。以下、主な改正項目を概観していきます。

●国外に居住する親族の扶養控除の適正化
国外扶養親族21人もの扶養控除の適用を受けていた事例があり、その適用に疑義のあるものも散見されることから、適用を適正にするための改正が行われました。
具体的には、国外に居住する親族に係る扶養控除等の適用を受ける納税者に対して、確定申告書等に次の書類を添付し、又は当該確定申告書等を提出する際に提示することを義務付けるものです。
①親族であることが確認できる書類(例:戸籍の附票の写し、出生証明書)
②納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確認できる書類(例:送金依頼書、クレジットカード利用明細書)
この改正は、平成28年分以後の所得税について適用されます。

●国外転出時の譲渡所得等の課税の創設
租税条約上、株式等のキャピタルゲインなどは居住地国課税です。これを利用し、含み益のある株式を保有したまま、株式等の譲渡非課税国に出国し、その後に売却することで、課税を逃れることができます。
これを防止するため、一定の高額の資産家を対象に、出国時に未実現の含み益に対して特例的に課税する規定を創設しました。
具体的には、出国時に有価証券の評価額が1億円以上の者であり、かつ、出国直近10年以内において5年を超えて居住者であった者が対象です(入管法別表第一の在留資格で居住していた期間を除く)。
また、未実現に対する課税ですので、納税資金が不十分であることを勘案し、一定の要件を具備することで納税猶予が選択できる措置も講じられています。
なお、この改正は、出国者(特例対象者)の有する有価証券等を贈与、相続又は遺贈により非居住者に移転した場合にも適用がありますので留意が必要です。
適用は、原則、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与、相続若しくは遺贈からです。

●未成年者のNISAの創設
年間投資上限80万円、非課税期間5年間、非課税投資総額が最大400万円で、18歳になるまで原則として払出し不可といった要件があります。適用は、原則、平成28年1月1日以後の申し込みからです。

平成27年度税制改正大綱 法人課税編


平成27年度の税制改正は、法人税改革が中心です。その特徴は、法人税実効税率の引下げに伴う財源不足は同じ法人課税の枠内で調達する、というものでした。
しかし、改正項目の多くは資本金1億円超の大法人を対象としたものとなり、結果として、先行減税となる改正案です。以下、主な改正項目を概観していきます。

●法人実効税率の引下げ
法人税の実効税率(標準課税ベースで34.62%)を平成27年4月1日開始事業年度から2.51%、平成28年4月1日開始事業年度ではさらに0.78%引下げ、以後数年で20%台まで引下げるとするものです。
なお、中小法人等の軽減税率15%は、2年間延長されることになっています。

●欠損金の繰越控除の見直し
改正案は、中小法人等を除く資本金1億円超の大法人のみの見直しとなっており、控除限度額は、平成27年4月1日開始事業年度からは所得の65%(現行所得の80%)、平成29年4月1日開始事業年度からは所得の50%に縮減するものです。
なお、新設法人や再生計画の決定等があった場合には、一定の期間までは所得の全額を控除できるものとし、上場や再上場等の場合、以後の事業年度は対象外とするものです。

●欠損金等の繰越控除の延長
現行の9年から10年に延長です。これに合わせて帳簿書類の保存要件も10年に延長されています。この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額から適用です。

●受取配当金の益金不算入の見直し
改正案では、持株比率に応じて益金不算入割合を次のように区分しています。
持株比率5%以下:20%
持株比率5%超~1/3以下:50%
持株比率1/3超~100未満:100%
持株比率100%:100%
※負債利子控除に関しては、1/3超100%未満保有の関連法人株式等を除き廃止となっています。
この改正に伴い、負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度を平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度に改められています。
※株式投資信託の分配金は、特定株式投資信託(益金不算入20%)を除き全額益金算入、また保険会社が受ける配当金については、特例的な措置が講じられています。

供託にもいろいろな種類がある


◆まずは供託の典型から
供託で、まず思い浮かぶのは、不動産賃貸借で、契約期間満了や賃料改定が争いとなったときに、賃借人が、法務局で賃料相当額を供託する事例ではないでしょうか。
これは、弁済供託という類型で、相手方が支払受領を拒否し、あるいは、行方不明になった場合に、供託によって支払義務から解放させることを目的とします。

◆供託は弁済供託だけではない
しかし、供託の種類はこれだけではなく、他にはこういう場面があります。
1.法律上、何らかの担保提供として供託が求められる場合(担保保証供託)
これは、①営業者(宅地建物取引業が典型)がその営業活動で生ずる債務や損害を担保するために供託を求められる場合(営業保証供託)、②裁判所から訴訟費用や訴訟行為による相手方の損害を担保するために、供託を命じられる場合(裁判上の担保供託)、③相続税、贈与税等の延納許可、又は納税猶予に関し、納付又は徴収を確保すべく、税務署長等から納税者に担保提供を求められる場合(税法上の担保供託)があります。
2.支払債務が第三者の差押えの対象になったために供託する場合(執行供託)
従業員への給与が差し押さえられた場合のように、金銭債権について裁判所から差押命令の送達を受けた場合に、当該金銭債権の債務者(第三債務者)が、その金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができます。また、同一の金銭債権(例えば買掛金債務)について複数の債権者から差し押さえられた場合、第三債務者は、金銭債権の全額に相当する額の金銭を供託しなければなりません。
3.公職選挙のように、ある目的から、一定の額の金銭等を供託させ、一定の事由が生じたときは、国又は地方公共団体がこれを没収する供託(没取供託)
4.目的物の散逸を防止するために、供託物そのものの保管・保全を目的としてされる供託(保管供託)
例えば、銀行、保険会社等の業績が悪化して、資産状態が不良となった場合に、財産散逸を防ぐべく、監督官庁が財産の供託を命ずる場合です。